11.29

そう言えば_。

少し前に静岡の掛川にあるYAMAHAのピアノ工場・工房見学へ友人のミュージシャンと行った。


IMG 0082

                               (写真:YAMAHAの工場で)

僕には特別な楽器がある。

もちろんスタインウェイの音は大好きだけれど、YAMAHAの全盛期の頃のある一台のピアノは、

正直僕はそれに匹敵する以上に、独自な素晴らしさを持った正にこれぞ名器だと信じて疑わない楽器だ_。

最高の材料と設計、技術、完成までの時間の掛け方_そしてそのすべての部品が手作りされた楽器だ。

低音から高音まで楽器全体が鳴る。

ケースの中だけでなく。

ピアニッシモからフォルテッシモまでレジスターでのムラがなく、全盛期のスタインウェイのように音はよく伸びるし、

倍音がこれでもかと言うくらい豊穣に色艶を与える。

もちろん低・中・高音域でのバランスは素晴らしく、

Una corda ペダルに至っては、決して痩せず音色そのものが柔らかな陽の光を帯びたように輝く。

IMG 8339

どの音域でも限りないピアニッシモ_

たった1音鳴らすだけで楽器全体が共鳴する。

そして腕のいい調律師_。

スタジオに来てリハをするピアニストは、必ず異口同音にみんな驚いて帰る。

『こんな楽器、ヤマハにあったんですね!_』


制作の段階から一台のピアノをこんな風に最高のTune upが出来たのは、

1部品だけでなくピアノのすべての部品をトータルに作れ、

全体を見つつ調整ができた、

正に筋金入りの本物の職人がいたから出来たことなのだろうと思う_。


ピアノの下に回って響板を下から眺めると支柱の配列も独自で、

響板の素材、塗りの美しさに心奪われる。

象牙の鍵盤一つ一つにも作り手のエネルギーを感じずにはいられない。


そしてどんな道具にも共通して言えることは、メンテナンスが大事だと言うこと。

植物も毎日ありがとうと感謝の声をかけてあげることで成長が大きく違ってくるというけれど、

配慮が大切なのだと思う。

今回見てきたのは正に工場ラインのグランドピアノ製造だったけれど、

それでも沢山の職人さんたちが心を込めて作業しているのが肌で感じられた。

僕は毎日仕事の後、どんなに疲れていて仕事が途中でも、

1日の終わりには感謝を込めて楽器に丁寧にクロスをかける。


『口のきけないものを邪険に扱ってはいけない、親切に、大切にしなさい』と小さい頃、よく言われた。


楽器は元より、どんな道具もまた愛し、大事にして行きたいと改めて思う今日この頃。


IMG 0085

(写真:YAMAHA工場で)