12.26〜ジストニアからの回復

2018年もあと5日。

書けるうちに少し今年を振り返りたい。

2018年_多分一生忘れない年。


今年初めに書いた抱負の中で、一番大きな達成_それは何と言っても手の回復。

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二十歳を過ぎた頃、難病フォーカルディストニアに左、それから右手とかかり、ピアニストの道は完全に閉ざされ、

以降、右3左4の7本でピアノを弾いていた。

完全に作編曲に転向し、塾講・家庭教師のバイトをしながら、オーケストラという分野に本腰を入れた。


それでも諦められなかった_『いつか、いつか_きっと』


ありとあらゆる治療を試したがダメだった。

色々な気づきの中で、ある時期少し良くなったと思ってしばらくするとすぐ、

リバウンドがかかり、巨人の星の”星飛雄馬”よろしく、手が強制ギブスでもはめたようにガチガチになる_。

その繰り返しだった_まさに地獄の賽の河原そのものだった。

一分の誇張もなく、ドレミが弾けない、ドミソの和音が弾けない_。


今でこそ日本でもフォーカルジストニアは、認知されているけれど、僕がかかった当時は誰も知らない病気だった。

それでも7本のフィンガリングで、軽いピアノの演奏を一流ホテルのラウンジで弾き続けていた。

正直言ってあの頃の日々の辛さは尋常じゃなかった_。

ジストニアだと診断されたのは23の時。


小学生でも楽々弾けるような曲が、僕にはリストの『鬼火』のような難曲になってしまっていた。

一体何度、誰もいないホテルの非常階段で悔しくて泣きながら壁を殴ったことか_。

人間不信にも陥り、辛酸を嘗め尽くした。

ピアノの曲を聴くのが嫌になり、そのうち全く聴かなくなった。

でも、仕事関係の人には、まさかドレミもまともに弾けないなんて、なんとしても言えなかった。

当時のパートナー以外、一切話せなかった_仕事がなくなるのが怖かった_3本指でもできる仕事はあったから、

もしそれまで取り上げられたら_。その不安は半端なかった。

ほんの二、三年前に公に話すまで、二十年以上。


それでも、僕は心の底からピアノが大好きだった_。何よりも。25年の片思い_。

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仕事のメインがオケの作編曲に移ってからも、回復への道を毎日信じて25年以上、歩んできた。


でも本当に何をやってもダメだった_。

『治ったらジストニアじゃない』そんな容赦のない言葉を聞くようになったのは、

仕事でヨーロッパへ行くようになってからだった。


世界中にこの病に苦しみ、演奏家としての道を断たれ、絶望の淵にある人がどれだけいることか_。

今では腱鞘炎と同じくらい、世界ではよく知られ、同時になる人も多くなった。


手が動かなくなって割とすぐ、僕はピアニストの手を研究する日本の権威の一人、

酒井直隆医師に横浜市立大学病院で典型的なジストニアだと診断を受けた。

数年前からネットで世界中の患者の声を読んだり聞いたりするようになり、

中には少しだけ良くなった方達が様々な機会を設けて、

ジストニアの人たちのレッスンなどを行なっていたり、患者同士のネットワークもあるようだと知った。

でも、世界を見渡しても、どんな人も誰一人明確な治療法・練習法について言及できる人は未だに出ていないということも分かった。

Open-Door


それが_。

三年前の二月_そこがスタートだった。

ある方法と考え方を思いつき、それからそれこそ毎日必死で徹底的な試行錯誤を繰り返した。

確実な方法に至ったのは去年の暮れだった_一年前。


そして今年、今現在、ついにショパンのOP10-1.や2をかなりスラスラ弾けるまでに回復した。

まさに奇跡_。

この喜びは言葉にできない_。


このメソッドは『他の人にも効くのか?』

一番大きな疑問だった。

そんなある時、今年の半ばジストニアの方の相談を受けて、僕の方法の基本を教えたところ、わずか一ヶ月足らずでみるみる回復の道を辿った。


『これは多分、最も本質をついたメソッドかもしれない』


そんな静かな確信を持てたこと、そしてまだそのスタートに過ぎないけれども、ピアニストとしての復活へ大きな一歩を歩みだしたこと_。

このことはしっかり本にまとめた方がいいと周りからも勧められているので、今後信頼できる医師などの友人たちの力も借り、実現したいと思う_。


そして、何より今年の忘れられない出来事は、

日本を代表する港、僕の大好きな横浜港の、

横浜開港祭の素晴らしいフィナーレを尊敬する方々と共に制作させていただける機会を得たことを初めとして、

作曲家としてこれ以上ないくらい大切な一歩を踏み出したこと_。


今、僕は様々なことでお世話になって来た全ての内外の方々、応援してくださっている全ての方々に心から感謝の思いでいっぱいです。

本当にありがとうございます!!

そして、これからもよろしくお願い致します。


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